「農業を魅力的な産業にする」。
ゆず栽培を起点に静岡県川根本町を発信。
静岡県川根本町のゆずを栽培する「Agrinos」は、農業の地位向上や地域活性化を目指し、多数の事業を展開しています。事業のひとつであるゆず栽培は、土地の性質や環境をいかしゼロからの栽培に成功。朝晩の寒暖差によりアロマ成分が含まれたゆずは、枝から切り離した瞬間から爽やかな香りが漂います。
Agrinosのゆずと本格スパイスを掛け合わせて作られた富士山嶺クラフトコーラは、すっきり、さっぱりとした味わい。食事のお供やお風呂上り、休憩時などリフレッシュしたい時にぴったりのドリンクです。
Agrinosについて
「Agrinos」は「農業を魅力的な産業にする」をミッションとし、農業が選ばれる職業となるような活動を行なっています。地域衰退により農業の担い手が減少し続ける一方で、農業は人々の暮らしを支える大切な産業です。食品ロス対策や耕作放棄地の再利用、六次産業による農業の仕組み化などを通じて、農業のあり方を仕組みから変えていきます。
事業のひとつとして力を入れているのが、ゆず栽培。栽培だけでなく、加工商品の開発、販売までワンストップで手がけています。ゆずはもともと、Agrinosの拠点である静岡県川根本町の特産品のひとつ。四国や九州での栽培が盛んなイメージですが、静岡県を含む東海4県における生産量第1位は、実は川根本町なのです。
その事実を知り、まだ知られていない川根本町の魅力を農業という切り口からアピールするチャンスを感じたことから、本格的にゆずの栽培に着手することを決めたのだそう。
長年放棄されていた茶畑を引き取り、何もない状態からゆずの栽培をスタート。もともとゆずが育ちやすい環境ということもあり、現在では農地3haを所有し、ゆずを含む柑橘果樹およそ1,200本を栽培しています。
また、地域という存在も大切にしており、地域活性化にも力を入れています。日本には魅力的な町はたくさんあります。しかし、人口流出や高齢化が進むことで、20年後、30年後はもしかしたら町自体が存続していない可能性もある。そのような地域に入り込んで少しでも盛り上げていくため、観光資源を活用する事業なども展開。
その土地の環境や文化、暮らしなどを大切に、地域に根ざした活動を進めることで、総合的な地域創生を目指します。


Agrinosのゆず特製
富士山嶺クラフトコーラ
産地の静岡県川根本町は、お茶の産地としても有名で、川根茶というブランド茶が存在します。一方で、地域衰退により廃業する茶農家も増え、耕作放棄地が地域の課題となっていました。現状を打開すべく、Agrinosで耕作放棄地を引き取り、ゆず農園の再生に取り掛かります。
引き取った当初は、お茶の苗がそのまま残っており、枝葉も伸びたままの荒れた状態。まずお茶の木を粉砕機にかけ処理し、土慣らしを行なうところからはじまりました。その後は、季節や時期に応じた手入れを繰り返す日々が続きます。地域の方の協力もあり、スタートからおよそ5年の年月をかけて立派なゆず農園へと生まれ変わりました。
ゼロから作られた「Agrinos」のゆずは、香りに特徴があります。サビネンと呼ばれるアロマ成分が多く検出され、枝から切り離した瞬間からゆずの香りが漂うほど。栽培している川根本町は朝晩の寒暖差が激しい地域特性があり、その影響を受けたことで成分が皮に凝縮され、香り高いゆずへと成長するのです。
この香り高いゆずを凝縮してできあがったのが、「富士山嶺クラフトコーラ」。神奈川県横浜市にあるスープカレー「KIFUKU」とコラボした商品で、お店で使用されているスパイスとゆずを組み合わせ完全無添加にこだわりました。スパイスから生まれるピリッとした味わいと、ゆずの爽やかさや酸味がマッチ。すっきり、さっぱりとした味が印象的です。ゆずは、本来加工時には捨てられてしまう皮や中綿の部分も余すことなく使用。ゆずの香りを存分に楽しめるだけでなく、サステナブルな商品でもあります。
現地統括の中野 菜穂さんおすすめの飲み方は、暑い夏の時期や、お風呂上がり、サウナ後など、身体がほてった時の熱冷ましに。炭酸のシュワッとしたのどごしに、ゆずのすっきりとした香りで心身ともにリフレッシュ。甘さ控えめなので食事のお供としても相性ぴったりです。
また、パッケージにもこだわっており、手に取った一人でも多くの方に、静岡県川根本町で育てられたゆずを使っていることを知ってもらい、地域の認知へとつなげたいという思いも込められています。
川根本町のゆず
静岡県川根本町で栽培される「川根本町ゆず」は、香り高く品質の良いゆずとして知られています。この地域は標高200~600mの高地にあり、寒暖差の影響で果皮が厚くなり、香り成分が豊富に含まれるのが特徴。長い栽培の歴史があり、現在では町内各地で生産が行われ、その出荷量は静岡県内でもトップクラスを誇ります。
富士山嶺クラフトコーラだけでなく、ゆずポン酢やゆずジュース、ゆず味噌、ゆず羊羹など、多彩な加工品も展開され、直売所や駅の売店で販売されています。豊かな香りと安心の品質で、料理やお菓子作りにも最適なゆずとして親しまれています。


ゆず栽培を通じて川根本町の魅力を届けたい
「Agrinos」のゆずを紹介してくれるのは、静岡県川根本町現地統括の中野さん。川根本町出身の中野さんは、生まれ育ったこの町が大好き。世の中の人が知らない魅力がたくさんあり、それをどう発信していけばいいのか悩んでいたところAgrinosと出会いました。もともと会社員として働いていた中野さんにとって、農業は初めての経験。新しいことにチャレンジできる、川根本町を盛り上げることができることにワクワクしながらゆず栽培をスタートしました。
ゆず栽培を始めるにあたり、まずは農業経営の経験が豊富な方や、ゆず農家として長年ゆずを育ててきた方などに教えを乞いながら手探りで進めていきました。栽培しながら気になったことはすぐに相談。地域の方々と連携することで、川根本町の人々の温かさを感じ、さらにこの町が好きになったのだそうです。
事業を進めていく中で農業の大変さも痛感し、改めて農家のみなさんの日々の努力に感服し、毎日おいしい食にありつけることに感謝しながら自らもゆず栽培に力を入れています。
雄大な自然の数々に癒される
静岡県川根本町は、大井川や朝日岳、大札山に囲まれ、訪れるだけで癒される自然の豊かさが魅力。日本で最も美しい村連合に加盟しているこの地は、雄大な自然を感じられる観光名所がいくつもあります。
有名なのは「夢の吊橋」。ターコイズブルーの湖の上に吊り橋がかかっており、近年はSNS映えスポットとして大学生や20代の若者に人気です。また、奥大井湖上駅という観光地もあり、接岨湖の上にかかる橋からの情景は毎年多くの観光客が訪れます。クールジャパンアワードにも入選しており、外国人観光客にも人気のスポットです。
地域の人々の温かさも、中野さんが伝えたい川根本町の魅力。農作業をしていると、通りがかる近所の方が話しかけてくれたり、差し入れを持ってきたり。地域の方々が温かく見守ってくれている雰囲気も川根本町に住み続けたい理由なんだそうです。