開封してすぐに食べられる手軽さと、見た目にも華やかな存在感。生ハムは、ふだんの食卓からおもてなしのシーンまで、さまざまな場面で活躍してくれる食材です。
けれど実際には、そのまま食べていいの?塩気が強すぎない?どう合わせたらおいしくなるの?と迷ってしまうこともあるかもしれません。
今回は生ハムの基本的な食べ方から、料理との組み合わせ、保存方法までをわかりやすくまとめました。あわせて、本場イタリアの製法を受け継ぎながら、独自で国産の生ハムづくりに取り組む「Prosciutteria Morimoto(プロシュッテリア・モリモト)」のこだわりにも触れながら、おいしい生ハムを日々の暮らしのなかで楽しむヒントをお届けします。
なぜ生ハムはそのまま食べられるの?
生ハムは「生」という名前がついていますが、加熱せずに安全に食べられる食品です。その理由は、製造工程で行われる塩漬けと長期間の乾燥・熟成にあります。豚肉を塩漬けにすると水分が抜け、細菌や微生物が繁殖しにくい環境がつくられます。さらに、一定の温湿度のもとで数か月から数年かけて熟成させることで、安全性が一層高まり、同時にうま味や香りも凝縮されていきます。
塩の作用で水分が減少すると、腐敗の原因となる菌の活動が抑えられます。加えて、空気にさらしながら乾燥させることで、菌が生きられない状態が保たれます。なかでも、原産地名称保護(PDO)が付いた生ハムは、添加物を使わず塩だけで加工し、厳しい品質管理のもとで製造されており、高い安全性と品質が保証されています。
米国農務省(USDA)などの公的機関でも、生ハムは「ready-to-eat(加熱不要の食品)」に分類されています。こうした製法や品質管理の背景があるからこそ、封を開ければそのまま安心して味わうことができるのです。
よりおいしく食べるためのコツ
冷蔵庫から出したばかりの生ハムは、どうしても脂がかたくなりがち。
食べる直前にパックを開けてそのまま口に入れると、風味を十分に感じられないことがあります。少しだけ室温に戻してから食べることで、脂がやわらかくなり、舌の上でとろけるような食感と香りが楽しめます。
また、生ハムのカット方法によっても味わいは変わります。薄くスライスされたものは舌ざわりがなめらかで食べやすく、繊細な風味を感じやすくなります。ブロックタイプのものを自分でカットする場合も、できるだけ薄く仕上げるのがおすすめです。
食べる温度 | 食べる10〜15分前に常温に戻すと脂がやわらかくなり、風味が引き立ちます。 |
カットの厚み | 薄めにスライスすることで、口の中でのとろけ方や香り立ちが良くなります。 |
保存状態 | 開封後は乾燥を避け、冷蔵庫でしっかり密閉保存しましょう。 |

生ハムは「脚のついたオリーブオイル」とも呼ばれ、脂にオレイン酸を多く含みます。悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすほか、美肌効果も期待できる、身体にうれしい食材なんですよ。(根本 理沙)
生ハムに合う食材・ドリンクとの組み合わせ
シンプルな味わいだからこそ、合わせる食材やドリンクによって印象が大きく変わるのが生ハムの魅力です。家庭でも取り入れやすい組み合わせを中心に、相性の良い食べ合わせをご紹介します。
甘みのある果物と相性抜群
まず合わせやすいのは、やわらかな甘みをもつ果物です。いちじくやメロン、ぶどう、柿、桃、梨など、季節のフルーツと合わせることで、生ハムの持つ塩気やうま味が引き立ち、果物の甘みと調和します。
メロン×生ハムの組み合わせは、果汁たっぷりの甘さと、熟成された塩味のコントラストが絶妙で、前菜の定番メニューとしても知られています。いちじくや柿と合わせると、ねっとりとした果肉の口当たりとハムの繊維感が重なり、より深い味わいが生まれます。
小さくカットした果物と生ハムをくるりと巻いて、ピンチョス風に仕立てれば、ホームパーティーにも映える一皿に。手軽なのに手が込んで見えるアレンジです。

「Prosciutteria Morimoto」の国産生ハムの組み合わせは、桃もおすすめです!やさしい甘みとみずみずしさが、生ハムの塩味とうま味を引き立て、より贅沢な味わいを楽しめます。(森本 慎治)
サラダ・チーズと組み合わせて華やかに
野菜との組み合わせも、生ハムを楽しむうえで欠かせません。ベビーリーフ、ルッコラ、フリルレタスなど、リーフ系の野菜との相性は抜群で、食感や香りに軽やかな変化を添えてくれます。
モッツァレラチーズやトマトを合わせた「カプレーゼ風」は、彩りもよく、前菜や軽食にぴったりの定番スタイル。チーズのコクとトマトの酸味、生ハムの塩味が三位一体となり、箸やフォークが進むバランスの良さです。
また、オリーブオイルやバルサミコ酢をかけるだけでも印象は大きく変わり、味の幅がぐんと広がります。野菜の種類を変えるだけでも新鮮な驚きがあり、その時々の気分でアレンジが楽しめるのも魅力です。
パン・オリーブ・ドリンクとのバランスも
パンとの組み合わせは、生ハムのおいしい食べ方でも特に取り入れやすく、朝食・ブランチ・軽食・おつまみと、どんなシーンにもなじみます。トーストやバゲットにそのままのせるだけで、ちょっと特別な雰囲気の一皿に。クリームチーズやアボカドペーストを塗れば、さらにコクと食べ応えが加わります。
オリーブやピクルスと合わせれば、ワインやクラフトビールのおともにもぴったり。冷蔵庫にある食材を少しずつ組み合わせるだけでも、かんたんにおしゃれな一皿が完成します。
ドリンクとの相性も重要なポイント。白ワインやスパークリングワインはもちろん、赤ワインやビール、炭酸水でも生ハムの塩気と脂のバランスを引き立ててくれます。好みに合わせて飲み物を選べば、食卓の楽しみもさらに広がるでしょう。
組み合わせ | 食材・アイデア例 | ポイント・楽しみ方 |
果物×生ハム | メロン、いちじく、柿、桃、ぶどう、梨 など | 甘みと塩味のコントラストで前菜に最適。巻いてピンチョス風にも。 |
サラダ・チーズ | ベビーリーフ、ルッコラ、モッツァレラ、トマト など | 彩りと味のバランスがよい。カプレーゼ風やドレッシングでアレンジ。 |
パン・軽食 | トースト、バゲット、クリームチーズ、アボカドペースト | 朝食・軽食におすすめ。ひと手間で満足感アップ。 |
おつまみ系 | オリーブ、ピクルス、チーズ、ナッツ | ワインやビールと好相性。少しずつ盛ってピンチョスにも。 |
ドリンク | 白ワイン、スパークリング、赤ワイン、ビール、炭酸水 | 生ハムの脂や塩気を引き立てる。食事の楽しみが広がる。 |

こうして紹介してみると、いろいろなアレンジメニューがありますよね。もう一品足したい時におすすめの食材です!(根本 理沙)
朝食やおつまみに!シーン別おすすめの食べ方5選
生ハムは、使い方次第でどんな食事シーンにもなじむ柔軟さがあります。朝食・お弁当・おつまみ・ブランチなど、日常的な活用シーンに合わせた食べ方をご紹介します。
忙しい朝でもひと工夫で豊かな一皿に
慌ただしい朝でも、生ハムを加えるだけで食卓にひと工夫が生まれます。トーストに生ハムをのせて、アボカドスライスやゆで卵を添えると、たんぱく質と脂質、食物繊維をバランスよく摂れる朝食に。
オリーブオイルやブラックペッパーをひとふりすれば、香りも立ち、食欲がぐっと湧いてきます。トマトやベビーリーフを添えてプレートに盛りつけるだけで、見た目にも華やかな朝食に早変わり。忙しい朝でも、栄養と満足感を両立できます。
お弁当や軽食にも無理なく取り入れられる
生ハムは、パンやサラダとの組み合わせにもぴったり。洋風のお弁当やサンドイッチの具材としても活躍します。
たとえば、生ハム×クリームチーズ×きゅうりをはさんだバゲットサンドや、彩りのよい野菜とともにくるっと巻いてカップに詰めるアレンジなどもおすすめ。手軽に詰めるだけで見た目も華やかになり、食べるのが楽しみになるお弁当に仕上がります。
夜の時間にはおつまみとして楽しむ
1日の終わりに、生ハムを主役にしたおつまみでゆったりとしたひとときを。チーズやナッツ、ドライフルーツなど、常備しやすい食材と組み合わせるだけで、シンプルながら満足感のある一皿に。塩気のある生ハムと、いちじくやマンゴーなど甘みのあるドライフルーツの相性は抜群で、お酒との相乗効果も楽しめます。
また、アスパラガスやパプリカなどの野菜スティックを生ハムで巻けば、彩りも豊かでヘルシーなおつまみに。ワインやクラフトビールとの相性もよく、ホームパーティーの前菜やアペリティフとしても重宝します。
休日のブランチにもぴったり
ゆっくりと時間を過ごせる休日には、生ハムを使ってブランチを楽しんでみるのもおすすめです。オムレツや目玉焼き、スクランブルエッグなど卵料理の横に、生ハムをさっと添えるだけで、ぐっと見映えがよくなります。パンケーキやフレンチトーストに、生ハムとチーズ、サラダを合わせた甘じょっぱいアレンジも実はマッチします。
スープやフルーツとともにワンプレートで仕上げると、カフェ風のおしゃれなブランチに。あえて火を通さずにそのまま添えることで、手間をかけずに特別感が出せるのも、生ハムのうれしいポイントです。
塩気が強く感じるときの対処法
生ハムをそのまま食べたときに、塩気が強く感じられることはありませんか?そんなときは、少しだけ食べ方を工夫することで、塩味をやさしく整えることができます。
まずおすすめしたいのは、食べる10〜15分前に室温に出しておくこと。開封したばかりの生ハムは空気になじんでおらず、塩気や香りが立ちやすい状態です。少し置いておくだけで、脂がほどよく溶け出し、舌ざわりがなめらかになって塩味も落ち着いた印象になります。
また、パンや野菜、果物など、やさしい味わいの食材と合わせるのも有効です。サンドイッチやサラダに取り入れると、全体のバランスが整い、塩気も気にならなくなります。さらに、軽くオリーブオイルをまとわせることで、油分が塩味を包み込み、まろやかで一体感のある味わいに。とくに葉野菜とのサラダに仕立てると、オイルと野菜が生ハムの塩気をやさしく受け止めてくれます。

生ハムの楽しみ方はたくさんありますね。お気に入りの組み合わせを見つけて、毎日の食卓にプラスしてみてください。(根本 理沙)
本場仕込みの国産生ハム「Prosciutteria Morimoto」のこだわり
生ハムというと、イタリアやスペインといった本場のものを思い浮かべる方が多いかもしれません。それぞれの国には長い歴史と伝統があり、味わいも地域によって個性が分かれています。
そんななか、日本国内で本格的な生ハムづくりに取り組んでいるのが、「Prosciutteria Morimoto(プロシュッテリア・モリモト)」です。北杜市八ヶ岳にイタリアンレストランと工房を構え、独自に生ハムづくりを学んだ職人・森本 慎治さんが立ち上げました。
Prosciutteria Morimotoの生ハムには、はっきりとした個性があります。まず特徴的なのは、やさしい塩味と脂の軽やかさ。口に含んだ瞬間、じんわりと溶けるように旨みが広がりながらも、後味は驚くほどすっきりとしています。
塩気や熟成香が主張しすぎず、自然なうま味や風味を引き出した仕上がりは、毎日の食卓に無理なく取り入れたくなるような、穏やかな存在感を持っています。
このやわらかな味わいは、製法へのこだわりから生まれています。選び抜かれた国産豚を使い、1本ずつ手作業で塩漬けし、八ヶ岳の自然環境を活かしながら、ゆっくりと乾燥・熟成。気温や湿度の変化にあわせて管理を細かく調整しながら、時間をかけ、ていねいに仕上げていきます。
保存料や着色料、砂糖などの添加物は一切使用していません。必要なものは、肉、塩、空気、そして時間。シンプルな素材だけで、豊かな味わいを引き出すのが、Prosciutteria Morimotoの生ハムです。生産者の顔が見えること、そしてすべての工程を自身の工房内で一貫して行っていることも、品質への信頼感にもつながっています。
イタリアの伝統を尊重しながらも、日本人の味覚に寄り添うような、やさしさと奥深さをあわせ持った一品。Prosciutteria Morimotoの生ハムは、塩辛い味や、たまに食べる特別な食材といったイメージを、きっと変えてくれるはずです。

「Prosciutto di Yatsugatake」は、最低でも12か月もの時間をかけてじっくり熟成されます。この間に余分な水分が抜け、肉の繊維にうま味が凝縮されることで、加熱しなくても豊かな香りと深い味わいを楽しめる状態に仕上がります。(森本 慎治)
まとめ
生ハムは、決して特別な日のためだけの食材ではありません。 朝食のトーストにそっと添えたり、いつものサラダに加えてみたり。ちょっとした工夫で、毎日の食卓がほんの少し華やかになり、気持ちにもゆとりが生まれるような魅力があります。
そのままでも、他の食材と組み合わせても。塩味をやわらげる工夫をすれば、生ハムは驚くほど身近な存在になります。味わいの深さはもちろんのこと、使いやすさやアレンジの幅の広さも、生ハムならではの特長です。
生ハムの魅力を存分に楽しむうえで、「Prosciutteria Morimoto」の生ハムも、まさに理想的な一品といえるでしょう。
やさしい塩味と脂の軽やかさ、ていねいな手仕事から生まれる熟成のうま味。どのような食卓にもなじみやすく、どんな方にもおすすめできる味わいは、毎日でも食べたくなるはず。ぜひ一度お試しください。

やさしい塩味とていねいな熟成が生む深い味わい。Prosciutteria Morimotoの生ハムを、ぜひ食卓に取り入れてみてください!(根本 理沙)
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